どんな仕事内容に「偽装」が多い?

どんな仕事内容に「偽装」が多い?

入管庁が「技人国の明確化」でいくつかの事例を紹介しながら解説しています。他にもあると思われますが、わざわざ入管庁が具体的に事例を示しているという事は、問題が多い、間違いが多いからだと言えると思います。

パターン①:実務研修と言いながら

「技術的・専門的な業務をしてもらうが、慣れるまで研修の意味合いで、簡単な仕事、別の業務をしてもらう」と言いながら、別の業務が多いのは「偽装技人国」です。

パターン②:低賃金

「技人国」は一定水準以上の技術や専門的技能を有した人材が従事する仕事を想定しています。
具体的には技能実習生、特定技能1号者よりも高い知識や技能がないとできない仕事であり、かつ同じ仕事に従事する日本人の賃金以上でないといけません。仕事ができる、外国語ができる、特殊な技術がある、そんな優秀な人が低賃金だなんて、やはりおかしいわけです。
専門学校卒の「技人国」に特に低賃金による「偽装」が多いようです。
さらに悪質な事例として、技能実習生だと指導やチェックを受けないといけない、そのためのコストを抑えたいという目的で、「偽装技人国」労働者に実習生と同じレベルの仕事をさせ、最低賃金程度しか支給しないというケースがあります。わたし自身、いくつかそのような会社に遭遇したことがあります。

パターン③:通訳と言いながらホテル業務

ホテルや旅館業務に間違いが多い―意外に思われるかも知れません。外国人労働者が危険な仕事や犯罪に巻き込まれる等の劣悪な環境で働かされるというような点では、問題は少ないと思います。
しかし入管庁は2015年12月以降複数回にわたり、「技人国」の中でわざわざホテルを名指しして注意喚起しています。
それは、多くの方が「通訳業務」に必要な技術イコール日本語だと思っているからです。
確かに一般的な常識ではそうかも知れませんが、「技人国」が求める言語能力は日本語ではなく、外国人の母国語や母国の文化や自然科学の分野の知識です。つまり、中国人が「技人国」で許可されている仕事内容は、中国語であり、中国文化への知識や理解を必要とする仕事です。
中国人観光客がどのような部屋を好むのか、朝食は何が良いかを理解し、中国語で宿泊プランやホテル利用上の注意点を説明する、というなら適合した仕事内容です。
しかし、多くのホテルで、「技人国」の通訳者が日本語ができるからと言って、日本人観光客のチェックインを受け付けたり、ホテル併設のレストラン業務に従事したり、部屋の清掃までしてしまっているのです。これは「偽装技人国」なのです。
ホテル業務全般に従事できる在留資格は「技能実習」と「特定技能」のみです。幸いにしてわたしは日本を代表するホテルグループ数社の採用担当者と打ち合わせする機会を持ったことがあります。そのうちある担当者からお聞きした話では、ここ数年の間に地方出入国在留管理局(旧入管)から電話が入り、「解雇する必要はないが、雇用期間終了時に雇用契約を延長せず、順次実習生か特定技能者に変えていくように」と指導があったそうです。
その後、前述しましたように昨年5月16日に政府から撲滅宣言が出され、12月27日には逮捕者2人、書類送検1人、摘発29人という事件がありました。ホテルの「偽装技人国」に対して引き続き電話での注意や指導だけで済むという保証はどこにもないのではないでしょうか。

「技人国」は優秀な人材が担う難しい仕事、特殊な仕事なんだ、と理解すれば分かりやすいと思います。
参考になりましたでしょうか。

 

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